給与所得者等再生とは?要件、小規模個人再生との違い、デメリット等わかりやすく解説.債務いくら減る?

個人再生

個人再生には給与所得者等再生と小規模個人再生の2つの方法があります。

個人再生を検討されている方の中には、どのような違いがあるのか、自分はどちらを選ぶべきかとお悩みの方もいらっしゃるでしょう。

ここでは、給与所得者等再生の要件や給与所得者等再生と小規模個人再生との違い、給与所得者等再生を選択すべきケース、デメリットなどをわかりやすく解説します。

個人再生を検討している方で、手続きの違いを知りたい方やどちらの方法が自分に合っているのかを知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

  1. 給与所得者等再生とは
  2. 給与所得者等再生の要件
    1. Ⅰ.給与所得者等再生の手続開始要件
      1. 1.債務者が個人で、かつ原則として給与所得者であること
      2. 2.債務者に支払不能の生じるおそれがあること(再生手続開始原因があること)
      3. 3.民事再生手続の棄却事由がないこと
        1. 費用の予納がないとき
        2. 裁判所の破産手続が継続しており、破産手続によることが債権者の一般の利益に適合するとき
        3. 再生計画案の作成や再生計画の認可などの見込みがないことが明らかなとき
        4. 不当な目的で申立てがされたとき、申立てが誠実にされたものでないとき
      4. 4.債務者に継続的または反復して収入を得る見込みがあること
      5. 5.給与等の定期収入の見込みがあり、収入変動の幅が年間20%以下であること
      6. 債務の総額が5,000万円を超えないこと(住宅ローンを除く)
        1. 小規模個人再生でいう債務の範囲
      7. 過去の個人再生手続き・ハードシップ免責の認可決定の確定日、自己破産の免責許可結成の確定日から7年を経過していない
    2. Ⅱ.再生計画案の認可要件
      1. 1.再生計画を遂行して借金を完済する見込みがあること
      2. 2.計画弁済総額が最低弁済額を下回っていないこと
      3. 3.再生債権者の一般の利益に反しない(清算価値保障の原則)
      4. 4.計画弁済総額が可処分所得額の2年分以上になっていること
  3. 給与所得者等再生と小規模個人再生との違い
    1. 手続きを利用できる業務形態
    2. 手続開始要件の違い
    3. 債権者による承認手続きの要否
    4. 弁済総額の違い
  4. 給与所得者等再生で債務はいくら減らせる?
  5. 給与所得者等再生のデメリット、給与所得者等再生を選択すべきケース
    1. 給与所得者等再生のデメリット
    2. 給与所得者等再生を選択すべきケース
  6. 給与所得者等再生が不認可となったらどうすれば良い?

給与所得者等再生とは

給与所得者等再生とは、個人再生の手続き方法の1つです。個人再生は、借金を大幅に減額し、残額を原則3年、最長5年かけて返済することで、借金を一部免除してもらう手続きです。

個人再生の方法には、給与所得者等再生と小規模個人再生の2つがありますが、給与所得者等再生は、安定した収入があり、かつ、収入の変動が小さい人が利用できる方法です。安定した収入があっても、収入の変動が大きくなる個人事業主は、給与所得者等再生を利用できません。

給与所得者等再生の特徴は、債権者の承認なしに手続きを進められることです。
そのため、債権者からの異議により小規模個人再生を利用できない場合でも、他の要件を満たせば給与所得者等再生が利用できます。

給与所得者等再生の要件

給与所得者等再生の要件は、次の2つに分類できます。

  1. 給与所得者等再生の手続開始要件
  2. 再生計画案の認可要件

それぞれの要件の中身について詳しく解説していきます。

Ⅰ.給与所得者等再生の手続開始要件

給与所得者等再生の手続開始要件は、次のとおりです。

  1. 債務者が個人で、かつ原則として給与所得者であること
  2. 債務者に支払不能の生じるおそれがあること(再生手続開始原因があること)
  3. 民事再生手続の棄却事由がないこと
  4. 債務者に継続的または反復して収入を得る見込みがあること
  5. 給与等の定期収入の見込みがあり、収入変動の幅が年間20%以下であること
  6. 債務の総額が5,000万円を超えないこと(住宅ローンを除く)
  7. 過去の個人再生手続き・ハードシップ免責の認可決定の確定日、自己破産の免責許可結成の確定日から7年を経過していないこと

それぞれの要件について説明します。

1.債務者が個人で、かつ原則として給与所得者であること

個人再生は、法人の民事再生を個人向けに設計した手続きです。
そのため、個人再生の一種である給与所得者等再生を利用するには、債務者が個人であることが前提となります。

給与所得者等再生は、その名のとおり個人のうち給与所得者を対象とした制度です。

手続きを利用するには、変動の幅が小さい安定収入が必要となるため、個人事業主が給与所得者等再生を利用するハードルは高くなります。

個人事業主でも給与所得者等再生を利用できるケースはありますが、家賃収入など特定の取引先から安定した収入や受注が見込まれる場合に限られます。
取引先が変動する場合や取引先の変動がなくても受注量の変動がある場合には、給与所得者等再生は利用できません。

2.債務者に支払不能の生じるおそれがあること(再生手続開始原因があること)

給与所得者等再生を含む個人再生を申し立てるには、再生手続開始原因として、次のいずれかの状況にあることが必要です(民事再生法21条1項)。

  • 破産手続開始の原因となる事実の生ずるおそれがあること
  • 事業の継続に著しい支障を来すことなく弁済期にある債務を弁済することができないこと

給与所得者等再生で問題となるのは、1つ目の要件「破産手続開始の原因となる事実の生ずるおそれがあること」です。

破産手続開始の原因とは支払不能のことで、弁済期にある債務を弁済できない状況のことを言います。
給与所得者等再生の原因としては、さらに支払不能となる「おそれ」が必要となります。

つまり、近い将来、債務を弁済できなくなるおそれがある状態のことです。

よって、多額の債務があっても、支出を抑えることで返済資金を捻出できる状態の場合には、支払不能のおそれがあるとは言えません。

3.民事再生手続の棄却事由がないこと

個人再生の手続きには、民事再生法の規定が適用されます。給与所得者等再生も個人再生の一種なので、民事再生手続の棄却事由がある場合には、手続きをスタートできません。

民事再生手続の申立棄却事由は、次のとおりです(民事再生法25条)。

いずれかの事由に該当する場合、給与所得者等再生の申立ては棄却されます。

費用の予納がないとき

個人再生の予納金は、15万円から25万円ほどです。

申立代理人として弁護士を選任しているか、どの裁判所に申立てをするかによって金額が異なりますので、詳しくは申立てをする裁判所に問い合わせてください。

裁判所の破産手続が継続しており、破産手続によることが債権者の一般の利益に適合するとき

破産が一般の利益に適合しないと判断されたとしても、破産開始決定が出されている以上、手続きが変更されることはありません。

裁判所の判断で破産が上手くいかなかったときに、改めて他の手段を検討することになります。

再生計画案の作成や再生計画の認可などの見込みがないことが明らかなとき

再生計画案の作成見込みがない場合とは、債務者の財産や収入状況から、有効な再生計画案を作成できる見込みがないことを言います。

たとえば、優先債権である公租公課や労働債権の弁済原資すらないような場合には、再生計画案をの作成見込みがないと判断される可能性が高いでしょう。

不当な目的で申立てがされたとき、申立てが誠実にされたものでないとき

不当な目的による申立てとの例としては、債権者に対する嫌がらせ目的のみで申立てをしたケースが挙げられます。

4.債務者に継続的または反復して収入を得る見込みがあること

個人再生で再生計画が認可されると、計画に従った返済を継続する必要があります。
そのため、個人再生の申立てが認められるためには、債務者に返済を継続するための継続的な収入があることが前提となります。

継続的な収入(安定収入)の要件を満たすのは、正社員だけではありません。年金収入や家賃収入のある方、アルバイトを継続している方も、継続した収入が見込めるのであれば安定収入の要件を満たします。

給与所得者等再生の「給与所得」とは、所得税法における給与所得のことを指しますが、「等」と記載されているとおり、給与所得のない方でも家賃収入など安定収入の要件を満たすのであれば、給与所得者等再生を利用できる可能性はあります。

5.給与等の定期収入の見込みがあり、収入変動の幅が年間20%以下であること

給与所得者等再生については、安定収入の要件に加えて、収入の変動幅が小さいことが求められます。

収入の変動幅が小さいとは、具体的には年間の収入で換算して20%を超えない程度が目安とされています。

たとえば、年間を通した月収が28万円から32万円の範囲に収まっている場合には、変動幅が20%を超えていないため、給与所得者等再生の要件を満たすと言えるでしょう。

一方、平均月収が30万円のケースであっても、15万円の月もあれば45万円の月もあるという場合には、変動幅が大きいため給与所得者等再生の要件を満たしません。

債務の総額が5,000万円を超えないこと(住宅ローンを除く)

給与所得者等再生を利用するには、住宅ローンを除く債務の総額が5,000万円を超えないことが必要です。

個人再生手続で債務の総額に制限があるのは、金額の制限なく個人再生を認めると、減額の幅や債権者に与える不利益がより大きくなるためです。

個人再生手続は、民事再生手続を簡易にした手続きとなっています。債権者に大きな不利益を与えてまで簡易な手続きでの債務の減免を認めるべきではなく、債務の総額が5,000万円を超えるようなケースでは、一般的な民事再生の手続きでなければ再生手続を利用できません。

ただし、実際には個人で民事再生手続を利用する例は少なく、債務の総額が5,000万円を超える場合には自己破産を選択するケースが多いでしょう。

住宅ローンについては「住宅資金特別条項」を利用することで、個人再生の対象債務から除外できます。

住宅資金特別条項を利用するには、原則として住宅ローンを滞納していないことが必要です。

ただし、住宅ローンを滞納している場合でも、個人再生の申立てまでに滞納状態を解消できた場合や金融機関と交渉して住宅ローンの支払条件を変更できた場合には、住宅資金特別条項を利用した個人再生の申立てができます。

なお、住宅資金特別条項を利用する場合、住宅ローンは個人再生の債務から除外するため、ローンを本体とする未払利息も除外して考えることになります。

 

小規模個人再生でいう債務の範囲

小規模個人再生をしても、次の債務については減額されません。

  • 共益債権
  • 一般優先債権
  • 非減免債権

共益債権の例としては、個人再生の手続き費用や開始決定後の光熱費などが挙げられます。

一般優先債権には、税金や社会保険料、未払いの従業員給与などが含まれます。共益債権や一般優先債権は、そもそも個人再生の対象となりません。

非減免債権の例としては、養育費や悪意の不法行為による損害賠償請求権などが挙げられます。

非減免債権については、個人再生の対象として再生債権としての届出を行いますが、債務の性質から減額は認められません。

過去の個人再生手続き・ハードシップ免責の認可決定の確定日、自己破産の免責許可結成の確定日から7年を経過していない

給与所得者等再生の申し立てをするには、過去の個人再生手続き・ハードシップ免責の認可決定の確定日、自己破産の免責許可決定の確定日から7年を経過していないことが必要です。

過去7年以内に個人再生や自己破産の申し立てをしている場合、給与所得者等再生の申し立てを認めても、計画通りに債権者への返済を実行できるとは信用してもらえないでしょう。7年間に2回も個人再生や自己破産の申し立てをすることになること自体が信用を得られない要因となるためです。
そのため、次の日から7年以内の場合、給与所得者等再生の申し立ては認められません(民事再生法239条5項2号)。

  • 給与所得者等再生の再生計画認可決定の確定日
  • ハードシップ免責の決定にかかる再生計画認可決定の確定日
  • 自己破産の免責許可決定の確定日

なお、ハードシップ免責とは、個人再生の再生計画が認可されたあとで、債務者に責任のない事情で計画通りの返済ができなくなったときに、借金総額の4分の3以上を返済していることなどを条件に、残額の免責を認める制度のことです。

なお、前回の個人再生に基づく減額後の債務の返済を完了していても7年以内であれば申し立ては認められません。

ただし、任意整理や特定調停の申し立てをしていても、他の要件を満たしていれば給与所得者等再生の申し立てはできます。

Ⅱ.再生計画案の認可要件

給与所得者等再生における再生計画案の認可要件は、次のとおりです。

  1. 再生計画を遂行して借金を完済する見込みがあること
  2. 計画弁済総額が最低弁済額を下回っていないこと
  3. 再生債権者の一般の利益に反しない(清算価値保障の原則)
  4. 計画弁済総額が可処分所得額の2年分以上になっていること

給与所得者等再生では、小規模個人再生で要件となっている債権者決議は不要です。

一方、小規模個人再生にはない要件として、「計画弁済総額が可処分所得額の2年分以上になっていること」があります。

それぞれの要件について解説します。

1.再生計画を遂行して借金を完済する見込みがあること

当然のことながら、再生計画案は完遂可能なものでなければなりません。

再生計画が遂行できるものであるかは、債務者の収入と月々の返済予定額から判断されます。

そもそも給与所得者等再生では、継続かつ安定した収入が見込まれ、変動幅が小さくなければ認められません。そのため、債務者の現在の収入が継続するものとして、月々の返済予定額を支払い続けられると判断されるのであれば、再生計画遂行の見込みがあると判断されるでしょう。

2.計画弁済総額が最低弁済額を下回っていないこと

給与所得者等再生を含む個人再生手続では、借金総額に応じた最低弁済額が定められています。計画弁済総額が最低弁済額を下回る場合、再生計画案は認可されません。

債務の総額に応じた最低弁済額は、次のとおりです。

債務総額 最低弁済額
100万円未満 債務全額
100万円以上500万円以下 100万円
500万円を超え1,500万円以下 債務の5分の1
1,500万円を超え3,000万円以下 300万円
3,000万円を超え5,000万円以下 債務の10分の1

個人再生では、減額後の債務を原則3年、最長5年で返済する必要があります。たとえば、債務総額が2000万円の場合、最低弁済額の300万円を原則3年で返済する計画案でなければ、計画案の認可を受けられません。

債務総額が100万円未満の場合
債務総額が100万円未満の場合、全額返済となりますので債務の減額という点では個人再生をする意味はありません。
ただし、自宅の競売手続きが進行しているときは、住宅資金特別条項を利用した個人再生を申し立てることで競売手続きを止められるという極めて限定されたケースでは意味があります。

3.再生債権者の一般の利益に反しない(清算価値保障の原則)

個人再生手続では、自己破産で債務者が所有する財産を配当に充てた場合の清算価値以上の額の弁済が求められます。

つまり、債権者が返済を受けられる額が、債務者の自己破産による配当手続きで受け取れる額よりも上回る場合でなければ、個人再生は認められません。
これを清算価値保障の原則と言います。

清算価値に計上される主な財産としては、次のものが挙げられます。

  • 現金
  • 預貯金
  • 株式
  • 退職金
  • 保険の解約返戻金
  • 自動車
  • 不動産

など

たとえば、債務者が100万円の価値がある自動車と200万円の預貯金を保有している場合、清算価値の合計である300万円を上回る額を計画弁済総額としなければ再生計画案は認可されません。

4.計画弁済総額が可処分所得額の2年分以上になっていること

給与所得者等再生では、計画弁済総額が最低弁済額と清算価値を上回る場合であっても、債務者の可処分所得額の2年分以上でなければ、再生計画案は認可されません。

可処分所得額は、次の手順で算出できます。

  1. 過去2年間の総収入から所得税や住民税などの税金および社会保険料の額を差し引く(2年間の手取り額)
  2. 1で算出された数字を2で割る(1年間の平均手取り額)
  3. 2で算出された数字から債務者およびその扶養を受けるべき者の最低限度の生活を維持するのに必要な1年分の費用を差し引く

「債務者およびその扶養を受けるべき者の最低限度の生活を維持するのに必要な1年分の費用」は、各自治体の生活保護基準を基礎として、居住地域や世帯構成、住居が持ち家か否か、年齢などを考慮して決定されます。

要するに、手取り額から最低限度の生活費を差し引いた残りの金額が可処分所得額となります。

可処分所得額2年分は、「最低弁済額」や「清算価値」よりも高額となる場合がほとんどです。そのため、給与所得者等再生の計画弁済総額は、可処分2年分に設定されるケースが多くなっています。

給与所得者等再生と小規模個人再生との違い

個人再生手続における給与所得者等再生と小規模個人再生との違いをまとめると、次の4つになります。

それぞれの内容について詳しく解説します。

手続きを利用できる業務形態

給与所得者等再生では、安定した収入だけでなく、収入幅が小さいことも求められるため、収入が不安定な自営業者(個人事業主)は利用できません。

個人事業主が給与所得者等再生を利用できるケースは、家賃収入など特定の取引先から安定した収入や受注が見込まれる場合に限られます。取引先が変動する場合や取引先の変動がなくても受注量の変動がある場合には、給与所得者等再生は利用できません。

一方、小規模個人再生は、サラリーマンや継続的なアルバイトなどの給与所得者だけでなく、自営業者(個人事業主)も利用可能です。

手続開始要件の違い

給与所得者等再生は、小規模個人再生よりも手続開始要件が厳しく設定されています。具体的には、小規模個人再生にはない次の2つの要件が手続開始要件に追加されます。

  • 給与等の定期収入の見込みがあり、収入変動の幅が年間20%以下であること
  • 過去の個人再生手続き・ハードシップ免責の認可決定の確定日、自己破産の免責許可結成の確定日から7年を経過していないこと

給与所得者等再生は、小規模個人再生と異なり、再生計画案の認可に債権者の決議が不要です。そのため、手続開始要件は、小規模個人再生よりも厳しく設定されています。

債権者による承認手続きの要否

小規模個人再生では、再生計画案が過半数の債権者から不同意とされた場合には、手続きが廃止されます。

過半数の債権者から不同意となるケースは、次の2つです。次のケースのうちいずれか、もしくは両方に該当する場合には、手続きを進められなくなります。

  • 債権者の人数の過半数が不同意としたケース
  • 債権額の過半数を有する債権者が不同意としたケース

小規模個人再生における債権者決議は、書面決議で行われます。
裁判所から送付される再生計画案と議決書に、債権者が意見を述べなければ同意したものと見なして手続きが進行します。

給与所得者等再生では、書面決議すら行われず、債権者が再生計画案に意見を述べる機会はありません。

弁済総額の違い

小規模個人再生では、弁済総額が「最低弁済額」と「清算価値」を上回る必要があります。

給与所得者等再生の場合、「最低弁済額」と「清算価値」だけでなく、「可処分所得額の2年分」も上回る額を弁済しなければなりません。

「可処分所得額の2年分」は「最低弁済額」や「清算価値」よりも大きな金額となることが多いので、給与所得者等再生の方が弁済総額も大きくなりがちです。

給与所得者等再生で債務はいくら減らせる?

給与所得者等再生では、弁済総額が可処分所得額の2年分となるケースが多くなっています。

たとえば、債務者の債務総額、清算価値、可処分所得額が次のようなケースでは、400万円が再生計画案における最低弁済額となります。

債務総額:1000万円

清算価値:300万円(150万円の清算価値がある自動車と150万円の預貯金)

可処分所得額:200万円/年

債務総額が1000万円の場合における最低弁済額は、200万円です。最低弁済額200万円と清算価値300万円、2年分の可処分所得額400万円を比較して最も大きな金額は400万円なので、400万円が再生計画案における最低弁済額です。

このケースでは、1000万円の債務総額が400万円に減額されるので、最大で債務を600万円減らすことができます。

給与所得者等再生のデメリット、給与所得者等再生を選択すべきケース

給与所得者等再生のデメリットを説明したうえで、それでも給与所得者等再生を選択すべきケースについて解説します。

給与所得者等再生のデメリット

小規模個人再生と比較した場合における、給与所得者等再生のデメリットは、次の3点です。

  • 個人事業主は原則として利用できない
  • 収入の幅が小さい場合でなければ利用できない
  • 弁済総額が小規模個人再生よりも高額になる可能性が高い

給与所得者等再生と小規模個人再生との違いで説明したとおり、給与所得者等再生は、手続きを利用できる業務形態に制限があり、手続開始要件も厳しく設定されています。

弁済総額についても、「可処分所得額の2年分以上」という条件が加えるため、小規模個人再生よりも弁済総額が高くなってしまうケースがほとんどです。

給与所得者等再生を選択すべきケース

給与所得者等再生は、小規模個人再生と比較して、手続開始要件が厳しく、返済総額も大きくなるケースが多いでしょう。そのため、給与所得者等再生と小規模個人再生の選択については、基本的に小規模個人再生を選択すべきです。

給与所得者等再生を選択すべきケースとしては、債権者決議での同意を得るのが難しい場合が挙げられます。

給与所得者等再生は、再生計画案の債権者決議なしで手続きを進められますので、債権者決議での同意を得るのが難しい場合を除き、個人再生では、小規模個人再生が選択され、給与所得者等再生が利用されることは稀です。

給与所得者等再生が不認可となったらどうすれば良い?

給与所得者等再生が不認可とされるケースでは、通常、小規模個人再生に切り替えて手続きを進めるのも難しいでしょう。

給与所得者等再生と小規模個人再生のどちらを選ぶかを決める際は、債権者の同意を得られそうなら小規模個人再生、それが難しければ給与所得者等再生というのが1番の基準になります。

つまり、給与所得者等再生は、小規模個人再生を利用できない場合に検討すべき方法という意味合いがあるため、給与所得者等再生が無理なら小規模個人再生も難しいということが言えるためです。

そのため、給与所得者等再生が不認可となったケースで借金問題を解決するには、自己破産などの他の債務整理方法を検討することになります。

収入面や債務総額の問題で給与所得者等再生の手続きを進められなかった場合には、任意整理は難しいでしょうから、自己破産を検討することになります。

債務整理の方法を選択するには、個々人の状況を詳しく理解したうえで、専門的知識に基づく判断が必要です。

債務整理の方法を検討する際は、1人で悩むのではなく専門家への相談をおすすめします。

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